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資料読み取り型小論文の書き方|図表から考察へつなぐ4つの手順

更新日 2026/10/10 / アオハルOS 編集部

グラフや表が与えられる小論文は、読み取り・比較・解釈・主張の4段階に分けて書くとまとまります。数値を順番に説明するだけでは、読み取った先の考察が書けません。この記事では、大学が公表している出題意図を手がかりに、図表から主張までをつなぐ手順を整理します。

資料読み取り型で見られていること

青山学院大学が2026年度の学校推薦型選抜・総合型選抜等について公表した出題意図には、図表やデータの読み取りに触れた記載が複数あります。

地球社会共生学部の小論文では、出題意図として「資料の数値から社会的格差の変化や特徴を的確に読み取り、分配的平等の理論(資源の平等・福利の平等)の理解と結び付けて論述する力」が挙げられています。読み取りだけ、あるいは知識だけでは足りず、両者を結び付けることが求められている形です。同学部の別の科目では「英語、国語、数学、社会、図表を読みとる能力を含む高等学校卒業相当の学力」とも示されています。

コミュニティ人間科学部の小論文では「図表を含む論説文を読解し、その内容を的確に要約する力」、系属校推薦では「日本社会ないしコミュニティの現状に関するデータとその分析記事を提示し、読解・論述させる」とされています。社会情報学部の系属校推薦では「自治体の取組に関する数量データを適切に読み取る力、当該データを根拠として必要な対策を創造的に提案する力」が挙げられています。

ここに共通しているのは、読み取る力と、読み取ったものを根拠として使う力が並んで書かれていることです。「適切に読み取る力」と「根拠として必要な対策を創造的に提案する力」が同じ文に並んでいる例を見れば、資料の説明だけで答案を終えてはいけないことが分かります。

文部科学省の令和9年度大学入学者選抜実施要項でも、小論文等の活用について「自らの考えを論理的・創造的に形成する思考・判断の能力」を含む能力・適性等を多角的に評価するために望ましいとされています(第6の3)。資料は、自分の考えを形づくるための材料として置かれているという位置づけです。

小論文の出題形式・字数・制限時間・評価の観点は大学・学部・方式ごとに異なります。受験する大学の募集要項や公表資料で必ず確認してください。

読み取りは「3つの数字」に絞る

資料読み取り型でまず起きる失敗は、目についた数字を全部書いてしまうことです。グラフに10個の数値があっても、答案で使えるのは3つ程度です。

選ぶ基準は3つです。

  1. 最大と最小(いちばん多い項目と、いちばん少ない項目)
  2. 変化の幅がいちばん大きい箇所(年次推移がある場合)
  3. 設問の問いに関係する箇所(設問が「要因」を問うなら、要因を示しそうな項目)

この3つを拾えば、答案に必要な材料はそろいます。逆に、この3つに当てはまらない数字は、書かなくても答案は成り立ちます。

数値の書き方にも型があります。数字をそのまま並べるのではなく、何に対する数字かを添えます。

2015年の◯◯は32%で、調査対象のうち最も高い値だった。最も低い△△(8%)との差は24ポイントある。

「32%」だけを書くと、読み手は高いのか低いのかを判断できません。比較する相手を同じ文に入れると、一文で意味が伝わります。

単位の扱いも確認してください。「%」と「ポイント」は別のものです。32%から40%への変化は「8ポイントの増加」であり、「8%の増加」と書くと別の意味になります。グラフの軸が対数になっている場合や、単位が「万人」「千円」などになっている場合も、読み違いが起きやすい箇所です。

比較の軸を一つ決める

読み取った数字を考察につなげる作業は、比較の軸を決めることから始まります。軸が決まらないまま書き始めると、答案が数値の列挙で終わります。

資料の形取りやすい比較の軸
年次推移の折れ線グラフ時間(増えたのか、減ったのか、途中で向きが変わったのか)
項目別の棒グラフ項目間の差(どの項目が突出しているか)
複数の国・地域の比較表地域間の差(日本と他地域で傾向が違うか)
2つの資料が並ぶ出題資料間の関係(一方の変化が他方と対応しているか)

2つの資料が与えられる出題では、資料間の関係を書くことが設問の中心になる場合が多くあります。資料1だけ、資料2だけを順番に説明して終わると、問われていることに答えていない答案になります。「資料1で◯◯が増えている一方、資料2では△△が減っている」という形で、二つを一文に入れてください。

軸を決めたら、答案の冒頭で宣言します。

資料からは、2000年以降に◯◯が一貫して減少していることが読み取れる。本稿ではこの減少の要因を、△△の観点から検討する。

一文目が読み取り、二文目が検討の方向です。この2文で、読み手は答案の進み方を把握できます。

読み取りから考察へつなぐ一文の型

読み取りと考察の間に、橋渡しの一文を置きます。ここが抜けると、数値の説明から急に意見が始まる答案になります。

型は決まっています。「◯◯が読み取れる。この傾向は、△△が背景にあると考えられる」です。

資料から、□□の割合が10年間で15ポイント低下していることが読み取れる。この低下の背景には、◯◯の普及によって△△の必要性が下がったことがあると考えられる。

「考えられる」で止めるのが要点です。資料から直接読めるのは数値の動きだけで、その原因は資料に書かれていません。原因を断定すると、資料に根拠のない主張になります。

逆に、資料から読めることは断定して構いません。

避けたい書き方置き換えた書き方
◯◯が減少しているのは△△が原因である◯◯の減少には、△△が影響していると考えられる
この資料から□□が分かる(資料に書かれていない内容)この資料から読み取れるのは◯◯であり、□□については別の資料が必要である
おそらく32%程度だろう32%である(資料に示された値)

資料の限界に触れると、答案に厚みが出ます。「この資料は◯◯年までの値であり、その後の動向は分からない」「対象が△△に限られているため、全体の傾向とは言い切れない」といった一文です。前の見出しで見たとおり、出題意図には「的確に読み取り」という表現が使われています。読める範囲と読めない範囲を区別することも、的確さの一部です。

字数配分の目安

資料読み取り型では、読み取りに字数を使いすぎる答案が多くなります。目安は次のとおりです。

制限字数読み取り考察主張と結論
400字100〜120字180〜200字80〜100字
600字150〜180字280〜320字100〜140字
800字200〜240字380〜430字140〜180字

読み取りは全体の3割以内に収まります。読み取りが半分を超えた答案は、たいてい数字を並べすぎています。選ぶ数字を3つに絞る作業に戻ってください。

設問が「資料から読み取れることを述べ、それについてあなたの考えを書け」という二段構成になっている場合も、配分は変わりません。前半で読み取りを完結させ、後半で考察と主張を書きます。前半に自分の意見を混ぜると、設問の区切りを無視した答案になります。

やりがちな失敗4つと直し方

  1. 数値を全部説明する。直し方は、使う数字を3つに絞ることです。残りは「ほかの項目はいずれも10%未満である」のようにまとめて一文にします。
  2. 読み取りで終わる。直し方は、読み取りの最後に「この傾向は〜と考えられる」の一文を必ず置くことです。
  3. 資料にない知識だけで論じる。直し方は、自分の知識を書く前に、資料のどの数値に対応する話かを一言添えることです。
  4. グラフの軸や単位を読み違える。直し方は、書き始める前に、縦軸・横軸・単位・調査対象・調査年を声に出さずに読み、答案用紙の余白にメモすることです。

4番は答案全体を崩すため、最初に時間を使う価値があります。調査対象が「20代のみ」なのに全世代の話として論じてしまうと、考察が丸ごと成り立たなくなります。

書き終えたあとの確認

提出前に、次の3点だけ確認してください。

  1. 読み取りで挙げた数値が、考察の中でもう一度使われているか
  2. 原因や背景の説明に「考えられる」など、推測を示す語が入っているか
  3. 結論の立場が、冒頭で宣言した検討の方向と一致しているか

1番が最も見落とされます。冒頭で挙げた数値が考察に出てこない答案は、読み取りと考察が別々の文章になっています。数値を一つ減らしてでも、残した数値を考察の中で使ってください。

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よくある質問

Q. 資料の数値は、答案の中でいくつ挙げればいいですか。
3つ程度で足ります。最大と最小、変化の幅が大きい箇所、設問の問いに関係する箇所を選んでください。数を増やすより、挙げた数値を考察の中で使うことを優先します。
Q. グラフの原因を断定して書いてはいけないのですか。
資料から読み取れるのは数値の動きで、原因は資料に書かれていません。原因については「〜と考えられる」の形にしてください。資料に示された値そのものは、断定して構いません。
Q. 資料が2つ出たときは、どちらを先に書けばいいですか。
設問の指示に従ってください。指示がない場合は、設問の問いに近い資料を先に置き、そのうえで2つの関係を一文で示します。資料1と資料2を別々に説明して終わらないよう注意してください。
Q. 統計の知識がないと解けませんか。
公表されている出題意図では、図表を読みとる能力を含む高等学校卒業相当の学力が前提とされている例があります。高度な統計の知識ではなく、軸・単位・調査対象を正確に読む作業が中心です。

出典・参考

入試日程・提出書類・字数などは大学・学部・年度によって異なります。出願前に必ず志望校の最新の募集要項をご確認ください。

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