高校生・保護者 / 志望理由書

経済学部の志望理由書の書き方|関心の具体化と800字の構成例

更新日 2026/10/02 / アオハルOS 編集部

経済学部の志望理由書でつまずきやすいのは、「社会の仕組みに興味がある」「経済ニュースをよく見る」で止まってしまうことです。必要なのは、その興味をどの問いに向けたいかと、その問いをこの大学でどう扱えるかを、一本の線にすることです。手順にして説明します。

経済学部の志望理由書で読まれていること

文部科学省の令和9年度大学入学者選抜実施要項では、大学は入学志願者に求める力と、それをどのような基準・方法で評価するかを可能な限り具体的に設定することとされています。また、評価にあたっては、学力の3要素として、①基礎的・基本的な知識・技能、②知識・技能を活用して自ら課題を発見し解決する思考力・判断力・表現力等、③主体性を持ち多様な人々と協働しつつ学習する態度が挙げられています。

志望理由書は、このうち②と③を文章で示す書類です。経済学部の場合、読み手が見ているのは次のような点です。

  1. 社会の出来事を、印象ではなく仕組みとして見ようとしているか
  2. 関心が「分野」として言えるところまで絞れているか
  3. その分野を学ぶうえで、この大学を選ぶ理由が公開情報から説明できているか

評価の観点と方法は大学ごとに定められています。志望校の入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)と募集要項で必ず確認してください。

「なぜ経済学なのか」を掘り下げる3つの問い

きっかけは、ニュース、アルバイト、地域の変化、家計の話など、何でも構いません。そこから次の3つを順に書き出してください。

  1. 気になった出来事を一つだけ挙げる(できるだけ具体的に。「物価が上がった」より「よく行く店の商品が1年で値上がりし、客層が変わった」)
  2. そのとき浮かんだ「なぜ」を言葉にする(なぜ値上げしても売れる商品と売れない商品があるのか、など)
  3. その「なぜ」を調べるには、何を知る必要があるかを書く(価格と需要の関係、賃金、統計の読み方など)

3まで書けると、「興味がある」から「この問いを扱いたい」に変わります。ここが志望理由書の軸になります。

【弱い例】経済のニュースに興味があり、社会の仕組みを学びたいと思いました。
【掘り下げた例】近所の商店街で、同じ時期に値上げをした2つの店のうち一方だけが客を減らしました。価格が需要にどう影響するのかを調べたいと考え、まず家計調査の統計の読み方から学び始めました。

学びたい分野を具体化する

経済学部の科目名は大学によって異なりますが、関心を言い表すための大まかな区分は共通しています。自分の問いが、どの区分に近いかを確かめてください。

関心の方向扱う問いの例関連する学び方
個々の選択や価格価格が変わると人の行動はどう変わるかミクロ経済学・産業組織
全体の動き景気や物価、雇用はどう決まるかマクロ経済学・金融
データで確かめる施策に本当に効果があったのか統計学・計量経済学
制度と政策税や社会保障の仕組みをどう設計するか財政・公共経済
歴史と比較過去の制度はなぜそうなったか経済史・比較経済
  1. まず自分の問いに一番近い行を選ぶ
  2. その行に関係する科目が志望校にあるか、カリキュラム表で確認する
  3. 書くときは区分名ではなく、自分の問いの言葉で表す(「計量経済学に興味があります」より「施策の効果をデータで確かめる方法を学びたい」)

学部名が同じでも、数学の扱い方や必修科目の構成は大学ごとに違います。入試科目と履修要件は募集要項で確認してください。

「なぜこの大学の経済学部か」の調べ方

この部分は、志望校の公式サイトと募集要項だけを材料に書いてください。予備校の評判やランキングは、志望理由にはなりません。確認したいのは次の点です。

  • アドミッション・ポリシーに書かれている言葉(主体性、分析力、国際性など)と、自分のどの経験が対応するか
  • 1〜2年次の必修科目の構成(数学系科目がどの学年にあるか、統計の扱い)
  • ゼミ・演習の配属時期と選び方
  • 分野の広さ(金融中心か、政策・地域、国際、歴史まで幅があるか)
  • 学外のプログラム(調査実習、インターンシップ、留学制度の有無)

書くときは、科目名を並べるだけで終わらせないでください。「その科目で学べることが、自分の問いのどこにつながるか」を一文添えると、調べたうえでの選択として読まれます。

800字の構成例

ブロック内容目安
① 結論経済学部を志望する理由を一文で80字
② 問いの出発点気になった出来事と、そこから浮かんだ「なぜ」200字
③ 調べた行動読んだもの・調べた統計・参加したこと160字
④ この大学を選ぶ理由カリキュラム・方針と自分の問いの接点220字
⑤ 入学後と卒業後深めたい分野と、その先でやりたいこと140字
  1. ①を先に書き切る。ここが決まると残りの配分が決まります。
  2. ②は出来事を一つに絞る。複数挙げると全部が浅くなります。
  3. ③が空欄になる人は、関連する新書を1冊読む、政府統計のページを一つ開いて数字を見る、など行動を一つ作ってください。
  4. ④は、大学名を他校に差し替えても成立しないか読み返します。
  5. ⑤は「社会に貢献したい」ではなく、分野を一つ名指しします。

提出前チェックリスト

  • 様式・字数の上限と下限・手書きか入力かが募集要項どおりか
  • 「経済」という語を、意味を確かめずに大きく使っていないか
  • 一文が60字を超えていないか(超えたら二つに割る)
  • ④が、どの大学にも当てはまる内容になっていないか
  • 書いた内容を、面接で自分の言葉で説明できるか

総合型選抜では、志願者本人が記載する資料を必ず評価に活用することとされ、志望する学問分野に対する意欲や適性等に係る面接も必ず行うこととされています(令和9年度大学入学者選抜実施要項)。書いた内容はそのまま聞かれる前提で準備してください。提出書類の様式や字数は年度によって変わることもあるため、必ず最新の募集要項で確認してください。

よくある質問

Q. 経済学部志望ですが、数学が得意ではありません。志望理由書に書くべきでしょうか。
苦手であることをわざわざ書く必要はありません。ただし、多くの経済学部では統計や数学系の科目が必修に含まれます。志望校のカリキュラム表で必修科目を確認し、「データの扱い方を基礎から学びたい」のように、学ぶ姿勢として書くほうが自然です。入試科目と履修要件は募集要項で確認してください。
Q. 経営学部や商学部との違いを書いたほうがいいですか。
無理に他学部との比較を書く必要はありません。自分の問いが「社会全体の仕組みや制度」に向いているのか、「企業の経営や取引」に向いているのかを整理し、前者であることが自分の言葉で説明できていれば十分です。学部の区分や学べる内容は大学ごとに異なるため、志望校のカリキュラムで確認してください。

出典・参考

入試日程・提出書類・字数などは大学・学部・年度によって異なります。出願前に必ず志望校の最新の募集要項をご確認ください。

関連する記事